プロフィール

Pärùt(ぺルシュウ)

現在、日本には「生ハム文化」が出来つつあるように感じています。しかしその分類は曖昧で、非加熱であればすべて「生ハム」と呼ばれています。自分の造っていたパルマハムも、日本で製造されている、熟成されていない非加熱ハムもすべて「生ハム」と呼ばれることに、正直なところ違和感があります。
http://www3.plala.or.jp/smiles/prosciutto/06.html

また、パルマハムとは、パルマハム協会が認めた地域、原料、製法など様々な規格を守ったものだけが名乗ってよい名前です。ですから私が洞戸で造るハムはパルマハムではありません。しかし、パルマハム職人としてその名に恥じないハムを造る、食品添加物を一切加えず、自分の経験や技術に誇りを持ち続ける、そんな思いを込めて「生ハム」とは呼ばず、PÄRSÙT(ペルシュウ)という呼ぶことにしました。これは現地の方言でパルマハムであり、特に職人は親しみを込めてこう呼びます。

「パルマハムに使われる塩は岩塩ですか?」と聞かれることが多いのですが、これは岩塩には硝酸塩が含まれており、これが塩漬中に亜硝酸塩に変化して、静菌、発色、メーキングフレバーなどの作用をもたらすためだと考えられます。実際はパルマハムもペルシュウも海塩(天日塩)のみを使用します。

加熱をしないということ、亜硝酸塩などの添加物を加えないということは、必然的に菌が発生しやすいため、危険と隣り合わせであるという認識が必要です。塩だけで造るからといって、安全なものであるという保証はありません。パルマハムやペルシュウは決して偶然出来上がるものではなく、しっかりと裏付けされた方法があるのです。

添加物を全く加えず、塩のみでパルマハムやペルシュウを造ること、それは大変難しいことですが、裏付けされた経験、技術があれば安全で安心、そして美味しいものができるのです。